1月の舞台は盛況
パンフレットブログが追いついていないので、ちょっとだけ書きます。
毎年1~2月は手持ちチケットが少ないはずなのが、今年は1月に9本の観劇。その上上質の舞台がたくさんあってハイテンション、消化不良気味です。
新しいほうから
1/28(日)17:00開演『タイタニック』ミュージカル
1997年トニー賞ベストミュージカル受賞時にCDは購入してトニー賞のVTRも見ていましたが、この日本語版は素晴らしい。オールスタンディングになっていなかったので、一般受けはしにくいかもしれません。気に入ったのは楽曲とストーリー展開。あくまで群像劇として描かれた脚本と音楽が見事。二幕に泣かせる展開も心地よいです。キャストはネームバリューで持ってきていないのに、見事な歌唱力と表現者が揃いました。アンドリュー役の松岡充は初舞台だそうですが、他のベテランミュージカル俳優に遜色がない。骨太の役作りに成功しています。美術も難破船『タイタニック』を引き上げた趣向で気に入りました。パンフを読み込むと船首から沈むことを想定したこともわかります。″\○/゛
1/28(日)13:00開演『スウィーニー・トッド』ミュージカル
宮本亜門の演出が素晴らしい。ソンドハイムの不可解な音楽を違和感なく聞かせています。そうなるとソンドハイムの歌詞が見事にはまって、脚本のヒュー・ホィラーが不足なく書いている『復讐』による『過程』と『結果』を観客に叩きつけてきます。ここのところ殺し合いの舞台を立て続けに観てきて、更に『復讐』が無差別になる理由がわかった気がします。そうなると、自分が生きているのは『運』によることで、偶然でしかない気がしてきます。限りある命を大切にしたい。・・・ああ、こんなことが書きたいのではなくて、舞台が良かったことが書きたいのだ。キャストがまた良い。市村正親がすっきりしていて、大竹しのぶも歌に合格点が出れば文句なしの主演女優ぶり。キムラ緑子には驚きました。ドリさんだって全然わからないもの。武田真治がまた自分と全く違うキャラクターで大成功。他のキャストも歌を中心に上手い。日本のミュージカル俳優の力量は10年前と比べ物にならないくらい高いと思った。美術は松井るみ。大掛かりな調理場のセットが、船の尖頭にも、屋敷の一部にもなるちょっと想像ができない仕掛け。トッドの床屋の椅子の仕掛けもお見事。セピアというより茶色の暗い色調もロンドンらしい。″\○/゛
1/27(土)13:00開演『コリオレイナス』シェイクスピア劇
唐沢がコリオレイナスをやるなんて興味津々でしたが大当たり。2000年のアルメイダ劇場来日の記憶あり。でも英語だったのであまりピンと来なかったらしく、この舞台は初見のようにビンビン響きました。民衆の愚かさのみを『高貴な』コリオレイナスは認知して、同じ人間だという事実を見ていない。それを『傲慢』と言われ、結果的には命を落とします。群集の力は侮れないが、愚かさは認識しなければならない。シェイクスピアという人は上手く書くものです。皆さんの声がつぶれてきているのが心配。来週もう一度観ます。″\○/゛
1/20(土)19:00開演『ロープ』野田地図
チケットを取るのが大変でした。危うく観られないところ友人に救っていただきました。ありがとうございます。>某氏
プロレスが題材とは聞いていましたが、人間の飽くなき欲望「もっと、もっと」は恐ろしい。ソンミ村についての予備知識がなく、ベトナム戦争だと言うことくらいしかわからなくて観ていました。リアルと現実は違うってことが人間には日本人にはわかっていない気がする。
コロボックル宮沢りえの大健闘が芝居を面白くしています、よく台詞を喋っています。逆に藤原竜也が蜷川氏演出のときと同じに見えるのが残念。背景の人名と年齢がソンミ村の大虐殺で亡くなった人々と後で聞きました。藤原竜也の日生劇場『ロミオとジュリエット』ではどこかの戦争でなくなった若者達の写真がブロックのようにセットとして並べられていました。似てる。でも非難しているわけではなくて思い出したのです。″\○/゛
1/20(土)12:00開演『朧の森に棲む鬼』新感線
染五郎がかっこよければそれで満足してしまう私ですが(^^;;ここにも戦いがある。振り返って5作品のうち4作品は戦いですよ。タイタニックも人が作った船を人が操縦して沈没、人の欲でボートの数が足りなかったのは戦いではなくても人災です。やはり、全ての災いは人が導いていると思うのですよね。・・・と、これも芝居には関係ないね。
『朧・・・』の中で舌と剣が同じに使えるようになるライの成長(悪いほうへの)が面白かったです。キンタの心が開けてくるのもカッコイイ。新感線は男芝居だなあと思う瞬間です。女優は三人持ってきて、それぞれに良さ・かっこよさがあるのですが、女の求めるそれではありません。ツナとマダレの関係が見えたところもかっこよかった。
マクベスとリチャード三世の合わさったようなストーリーとの評判もありますが、マクベス寄りに見えるのは、マクベスばかり観てしまっているからか。どんな時代にも欲が強いのは人間の定めかしら。″\○/゛
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